国立新美術館開館15周年記念
李禹煥

李禹煥、フランス、アングレームでの《Relatum - The Shadow of the Stars》設置作業、2021年 Photo©︎Lee Ufan

李禹煥、フランス、アングレームでの《Relatum - The Shadow of the Stars》設置作業、2021年 Photo©︎Lee Ufan

展覧会概要

国立新美術館開館15周年を記念して、日本の「もの派」を代表する作家として、国際的にも大きな注目を集めてきた現代美術家、李禹煥(リ・ウファン、1936年生)の大規模な回顧展を開催します。

韓国の慶尚南道に生まれ、ソウル大学入学後の1956年に来日した李は、その後、東京の日本大学で哲学を学び、東洋と西洋のさまざまな思想や文学を貪欲に吸収しました。そして、1960年代から現代美術に関心を深め、60年代後半に入って本格的に制作を開始しました。

視覚の不確かさを乗り越えようとした李は、自然や人工の素材を節制の姿勢で組み合わせ提示する「もの派」と呼ばれる動向を牽引しました。また、すべては相互関係のもとにあるという世界観を、視覚芸術だけでなく、著述においても展開しました。1969年に美術出版社芸術評論賞で入賞した「事物から存在へ」などに示された深い思考は、「もの派」の理論的支柱にもなりました。

李の作品は、芸術をイメージや主題、意味の世界から解放し、ものともの、ものと人との関係を問いかけます。それは、世界のすべてが共時的に存在し、相互に関連しあっていることの証なのです。奇しくも私たちは、新型コロナウィルスの脅威に晒され、人間中心主義の世界観に変更を迫られています。李の思想と実践は、未曾有の危機を脱するための啓示に満ちた導きでもあります。

近年の李は、ますます国際的に活躍し、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク、アメリカ合衆国、2011年)やポンピドゥー・センター・メッス(メッス、フランス、2019年)など、世界の名だたる美術館で個展を開催してきました。一方、国内では、2010年に香川県直島町に建築家、安藤忠雄の設計で李禹煥美術館が開館しましたが、国内の美術館の大規模な個展としては、2005年の横浜美術館での「李禹煥 余白の芸術」展が最後となります。

こうした状況を受けた本展覧会は、東京では初めてとなる大規模な回顧展として開催されます。「もの派」にいたる前の視覚の問題を問う初期作品から、彫刻の概念を変えた「関係項」シリーズ、そして、静謐なリズムを奏でる精神性の高い絵画など、代表作が一堂に会します。また、李の創造の軌跡をたどる過去の作品とともに、新たな境地を示す新作も出品される予定です。

会 期 2022年8月10日(水)~11月7日(月)
毎週火曜日休館
開館時間 10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会 場 国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558東京都港区六本木7-22-2
主 催 国立新美術館、朝日新聞社
協 力 SCAI THE BATHHOUSE
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

巡回情報

兵庫県立美術館:2022年12月初旬~2023年2月(予定)