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遠距離現在 Universal / Remote

パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を現代美術を通して考察する展覧会です。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおします。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものです。

出品作家:井田大介、徐冰(シュ・ビン)、トレヴァー・パグレン、ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ/ヒト・シュタイエル/ミロス・トラキロヴィチ、地主麻衣子、ティナ・エングホフ、チャ・ジェミン、エヴァン・ロス、木浦奈津子

開催概要

会期

開館時間

10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで

会場

国立新美術館 企画展示室1E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

主催

国立新美術館

観覧料

未定

巡回情報

熊本:熊本市現代美術館、2023107日(土)~1217日(日)
広島:広島市現代美術館、2024年6月29日(土)~9月1日(日)

お問合せ

050-5541-8600(ハローダイヤル)

作家プロフィール

井田大介 Daisuke Ida

1987年鳥取県生まれ、東京都を拠点に活動。2015年に東京藝術大学大学院美術研究科(彫刻専攻)を、2016年にMADアートプラクティスを修了。彫刻という表現形式を問いながら、彫刻・映像・3DCGなど多様なメディアを用いて、目には見えない現代の社会の構造や、そこで生きる人々の意識や欲望を視覚化している。2016年からは世界中の人々がインターネット上にアップロードしている匿名的な画像を素材として、インターネット以降のモノや身体の在り方を彫刻する「Photo Sculpture」を継続的に制作している。本展では3点の映像作品を再構成し、「飛行」「上昇」「落下」のメタファーでコロナ禍社会を可視化する。

徐冰(シュ・ビン) Xu Bing

1955年中国、重慶生まれ、ニューヨークと北京を拠点。1987年北京の中央美術学院版画専攻の修士課程を修了。実在しない「偽漢字」や漢字のように見える英文「新英文書法」の創作、絵文字と記号のみで書かれた小説「地書」、廃材を用いたインスタレーション作品などで知られている。本展では徐の初の映像作品《とんぼの眼》(2017年)を上映する。チンティンという女性と、彼女に片思いする男性、クー・ファンの切ないラブストーリーが語られる。しかし、この映画に役者やカメラマンは存在しない。全ての場面が、ネット上に公開されている監視カメラの映像のつなぎ合わせである。徐と彼の制作チームは、20台のコンピューターを使って約11,000時間分の映像をダウンロードし、若い男女を主人公にした物語に合わせて編集した。

トレヴァー・パグレン Trevor Paglen

1974年アメリカ、メリーランド州生まれ、ベルリンとニューヨークを拠点に活動。シカゴ美術館附属美術大学で修士号を、カリフォルニア大学バークレー校で地理学の博士号を取得。地理情報と軍事機密、マシンビジョン、監視と通信システム、AIによる自動生成イメージなどをテーマに、写真、映像、立体作品を制作している。本展では、大陸間を海底でつなぐ通信ケーブルの上陸地点の風景を撮影した〈上陸地点〉シリーズ、海に敷設されているケーブルを撮影した〈海底ケーブル〉シリーズ、パグレンが設計したAIエンジンが生成したイメージによる〈幻覚〉シリーズの3シリーズを展開する。

ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ Giorgi Gago Gagoshidze

1983年ジョージア、クタイシ生まれ、ベルリンを拠点に活動。トビリシ国立芸術アカデミー(20012007年)、デン・ハーグ王立美術学院(20082010年)で学びベルリン芸術大学(20122016)にてヒト・シュタイエルに師事。

ヒト・シュタイエル Hito Steyerl

1966年ドイツ、ミュンヘン生まれ、ベルリンを拠点に活動。日本映画大学とミュンヘンテレビ映画大学でドキュメンタリー映画を学び、2003年にウィーン芸術アカデミーで哲学の博士号を取得した。

ミロス・トラキロヴィチ Miloš Trakilović

1989年ボスニア・ヘルツェゴビナ、トゥズラ生まれ、ベルリンとアムステルダムを拠点に活動。ウィレム国王学院2009–2012年)で学び、ベルリン芸術大学(20122016年)にてヒト・シュタイエルに師事。

シュタイエルと、ベルリン芸術大学で彼女に学んだガゴシツェ、トラキロヴィチの3人による共同制作作品《ミッション完了:ベランシージ》は、2019 年に開催されたシュタイエルの個展においてレクチャー・パフォーマンスとして発表された後、インスタレーションに再構成された。ファッションをキーワードに、1989年のベルリンの壁崩壊からの30年間の、格差という風景を永遠に見せ続ける資本主義の堂々巡りの旅を説く。

地主麻衣子 Maiko Jinushi

1984年神奈川県生まれ、東京都を拠点に活動。2010年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了。2019年から2020年までヤン・ヴァン・エイク・アカデミーのレジデンスプログラムに参加。映像、インスタレーション、パフォーマンス、テキストなどを総合的に組み合わせて作品を制作する。近年の『葬いとカメラ』(2021年)には、死と葬いを映像で記録することに関して文化人類学者金セッピョルと行った対話がおさめられている。《遠いデュエット》は、自身が「心の恋人」とする詩人・小説家のロベルト・ボラーニョ(1951–2003年)にあてた手紙のような、5章からなる約40分の映像作品である。

ティナ・エングホフ Tina Enghoff

1957年デンマーク生まれ、コペンハーゲンを拠点に活動。ニューヨークのインターナショナル・センター・オブ・フォトグラフィー (ICP)で写真を学ぶ。記録写真における表象と可視性の問題を扱う作品を制作する。主に北欧における植民地主義や福祉国家の制度的暴力、アーカイブの権力構造といったテーマに関心を持ち、コミュニティへの参加や共同制作、アート・アクティヴィズムを中心としたプロジェクトを実践する。誰にも看取られることなく一人きりでこの世を去った、孤独死した人々の部屋を撮影したシリーズ〈心当たりあるご親族へ〉では、都市に存在する孤独を問う。

チャ・ジェミン Jeamin Cha

1986年韓国生まれ、ソウルを拠点に活動。2010年に韓国芸術総合学校美術学部を卒業後、2011年にロンドンのチェルシー・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインで修士号を取得。映像、パフォーマンス、インスタレーションと執筆活動まで、多岐にわたる媒体で制作を続けている。チャの作品は、身体と心理や感情との関係性を扱い、表現しがたい経験を持つ個人に焦点を当てる。また、技術の進歩によって縮小していく未知の領域を保存することに関心を持っている。映像作品《迷宮とクロマキー》では、「ネット強国」を自負する韓国社会の片隅で、「配線」という目に見えないインフラを作る作業者の姿から、大量の情報を支える個人の労働が浮かび上がる。

エヴァン・ロス Evan Roth

1978年アメリカ・ミシガン州生まれ、ベルリンを拠点に活動。メリーランド大学で建築学を学び、パーソンズ・スクール・オブ・デザインでデザイン&テクノロジーを専攻しMFAを取得。絵画や彫刻からウェブサイトまで多様なメディアにおける芸術制作に、ハッカーの哲学を応用する。彼が共同開発に参加した「The EyeWriter」は、身体が不自由なアーティストが眼球の動きのみで絵が描けるよう開発した装置で、第14回メディアアート芸術祭(2009年)で優秀賞を受賞した。《あなたが生まれてから》は、自身のコンピューターのキャッシュに蓄積された画像を用いた、本人もすら予想のつかない。

木浦奈津子 Natsuko Kiura

1985年鹿児島県生まれ、同地を拠点に活動。2010年に尾道市立大学大学院美術研究科油画専攻を修了。一貫して風景、特に日常の景色の油絵を描き続けている。カメラで捉えた近郊の風景をもとに描かれる彼女の作品は、単純で抽象的でありながらも、見たときの風景そのままを保存する不思議な魅力をもつ。会場では、壁面いっぱいに大小さまざまな風景を木浦自身がインスタレーションのように展示する。


本展のために小説家・福永信が掌篇9点を寄せたカタログを刊行します。カタログデザインは村尾雄太。作品解説や作家の対談、インタビューなども収録されます。
また、本展のメインビジュアル等、各種宣伝美術をグラフィックデザイナー・石塚俊が手がけます。

福永信 Shin Fukunaga

小説家。1972年生まれ。著書に『星座から見た地球』、『一一一一一』、『実在の娘達』など。編著として『こんにちは美術』、『小説の家』などがある。

石塚俊 Shun Ishizuka

グラフィック・デザイナー。1983年生まれ。現代美術や舞台芸術、音楽、ファッションなどの分野において、宣伝美術をはじめ書籍装丁やディスプレイデザインに取り組む。2019年より自身のスタジオ/プロジェクトスペース「ピープル」を運営。2023年、JAGDA新人賞受賞。

村尾雄太 Yuta Murao

グラフィック・デザイナー。1990年生まれ。アート、ファッション、音楽などの領域に関わるグラフィックデザインやブックデザイン、ウェブデザインのプロジェクトに携わる一方、2017年よりデザインスタジオwellのメンバーとしても活動を行う。

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