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ID:73846

今獅々 貴美子 展 KIMIKO IMAJISHI

― 年輪(円環・人型) ―

Venue

シロタ画廊

SHIROTA GALLERY

Period

2023年6月5日(月)~6月10日(土)

Exhibition Outline

今獅々 貴美子 展 イマジシ キミコ テン ― 年輪(円環・人型) ―

KIMIKO IMAJISHI

年輪【円環・人型】

月と語る

よろこびをかみしめる時
わびしくものがなしい時
決意する時
天空のあなたは
わたしの弱さ汚れをおとし
空の中に立つ強さをくださる
水面のあなたに
そっとふれれば
微笑み光る
母なる月

月と共に旧暦で農作業をする里山の人々の輪の中で、穏やかに過ごしていた日々。18歳の時、突然訪れた母の死。なにものにも代えがたい尊い生命の火が、私の手から昇華していく中で、絶望の淵に生き続ける【魂の円環】が見えた気がした。その時、当時目標にしていた医術ではなく、芸術の道に踏み入れることを決意する。

東京藝術大学2年生の時、脳の標本を見て【魂の円環】が再び浮かび、キャンバスに【人型の円環】が方陣の中で繋がる大きな作品を制作する。

後に、それらの作品は当時美術出版社社長大下正男氏の目にとまり、「日本では早すぎるから、ニューヨークで個展をしよう」と動き始めてくださっていた。その矢先、全日空機の事故で帰らぬ人に。作品を見てくださっていたお姿を忘れることはない。

高校時代から鈴木大拙・西田幾太郎・タゴールの影響を受け、父の蔵書である大正3年発行の「ヰリアム・ブレーク:彼の生涯と制作及びその思想」(著:柳宗悦/出版:洛陽堂)をはじめ、世界美術全集などを読んでいるうちに、異文化に接したくなり、藝大卒業式前日に芸術家の方々と一ヶ月間エジプト~ヨーロッパの美術館巡りのツアーに出発する。一人パリに留まり4年間学ぶ予定であったが、ギメ美術館の仏頭を拝観していると、言い知れない東洋の魂と無上の深い精神性に打たれ、冬になる前に帰国する。

自宅の天井を見上げれば、年輪が持つ季の変化の波形に吸い込まれていく。刻・刻に変化する自然現象の軌跡に精神性を感じたことを同郷の新居猛氏(ニイチェア考案者)に話したところ、すぐに材木問屋に連れて行ってくださった。僅かな難ありで天井板などにはなれなかったという、素晴らしい年輪の杉板を手に入れることができた。

屋久杉を撫でていると、生命の神秘を年輪に感じ熱くなり、若さの勢いが沸きだし、恐れ知らずに年輪を毎日毎日擦りだすこと数カ月。糠袋で磨き上げ、手を合わせる。年輪の上に【円環・人型】を同化させて画き進んでいくうちに、幾百年も暴風雨に耐え抜いた細かい無数の年輪がうごめいて迫ってくるように感じた。年を経るごとに、巨樹に筆を加えることに畏怖と畏敬の念が積み重なり、キャンバスに円環を画くことも、年輪に対峙することもできなくなってしまった。

はたして私の年輪は何か・・・・・と考えている時期に、芸術に造詣が深い理解者と結婚。子供達にも恵まれ、生育の喜びを味わう一方で、あれほど打ち込んでいた制作もせず、子供を相手におもちゃ作りで創作意欲を満たしていた。

雨上がり外で遊んでいる時に、子供が水たまりに浮かぶ雲を指さした。水は蒸発し循環する。螺旋状に連鎖する【円環】が再び脳裏に甦る。壮大な営みの中にある己を感じ、心象風景を生涯追い求めることとなった。

子供たちが楽しく身近な自然を感じとり、発展させていけるような体質をと、次女が4才の時に造形教室【樹乃会】を始め、43年間の長きにわたり子供たちを指導。すでに教室はクローズしたが、卒会生たちはそれぞれの道を進み、根を張り枝を伸ばし立派な樹へと成長している。

樹乃会1期生でもある次女は、様々な社会経験を積んだのちに新生【アトリエ樹乃会】として新たな地で教室を始めた。彼女は、私と父が芸術論をかわしていたように生涯語り合える人でもあり、「思いが受け継がれ、発展していく、これもまた【円環】だ」という。
親となり子から孫へと繋がる血の流れと、【樹乃会】の環の中で、失敗は成功のもと、継続は力なりを合言葉に過ごした子供らとご家族の方々。出会いを通じ、多くの人々に助けられて、私の年輪は随分と【我儘な円環】を重ねている。

トタン屋根の古い粗末な借家で制作する至福の時間を過ごし、疲れると近くの「トトロの森保全地域」に僅かに残る里山を散策する。風の香り、草木のなびく形、生き物達の旋律が五感を震わせる。目を閉じれば里山の風景が広がっていく。

制作する心象風景に奥行きが表現できるように、修錬として円環を描き続けている。私の84年間も、1日も、空を見上げれば【一刻の円環】にすぎない。

螺旋状に過ぎていく自然の流れの中で人々に助けられながら、刻・刻に湧き上がる心象を少しでも精神性のある【円環】として表現できればと、木の年輪の力を借りて1963年から板に描き続けている。木にアクリル・油彩作品約38点の発表。40年近く油絵の具が積み重なったパレットも展示。

アトリエ極び庵にて
2023年吉日
今獅々貴美子

Closing Days
会期中無休
Opening Hours
AM11:00 ~ PM7:00
(最終日PM4:00終了)
Exhibition Website
https://shirotagallery.com/exhibition/%e4%bb%8a%e7%8d%85%e3%80%85%e8%b2%b4%e7%be%8e%e5%ad%90%e5%b1%95-%ef%bc%8d-%e5%b9%b4%e8%bc%aa%ef%bc%88%e5%86%86%e7%92%b0%e3%83%bb%e4%ba%ba%e5%9e%8b%ef%bc%89%ef%bc%8d/[Open in new window]

Access Information

シロタ画廊 シロタガロウ

SHIROTA GALLERY

Address
〒104-0061
中央区銀座7-10-8
Website
https://shirotagallery.com/[Open in new window]
Updated Date:2023.6.14
Created Date:2023.6.14

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