国立新美術館開館10周年
安藤忠雄展―挑戦―
TADAO ANDO: ENDEAVORS

ベネッセハウスミュージアム

直島 ベネッセハウス
1992年/1995年、香川県直島町
撮影:松岡満男

住吉の長屋

住吉の長屋
1976年、大阪府大阪市
撮影:新建築社

光の教会

光の教会
1989年、大阪府茨木市
撮影:松岡満男

展覧会概要

プロボクサーを経て、独学で建築の道を志す―― 異色の経歴で知られる建築家、安藤忠雄(1941年-)は、1969年に「都市ゲリラ」として建築設計活動をスタートして以来、常に既成概念を打ち破る大胆な作品を世に送り出し、新たな世界を切り拓いてきました。その緊張感溢れる作風は、グローバルに、より激しく展開しています。
本展では、安藤忠雄の半世紀近くに及ぶ、壮大な創造的挑戦の軌跡を、その空間の本質を突く五つのテーマに沿って、設計のプロセスを伝えるスケッチ、ドローイング、模型に写真、映像といった、多彩な資料と共に紹介します。来場者は、世界のANDOの歩んできた道程を辿る「時空を超えた旅」を体感する中で、建築という文化の豊かさ、その未来の可能性を知ることでしょう。

会 期 2017年9月27日(水)~12月18日(月)
毎週火曜日休館 
開館時間 10:00~18:00 金曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
会 場 国立新美術館 企画展示室1E+野外展示場
主 催 国立新美術館、TBS、朝日新聞社
共 催 安藤忠雄建築展実行委員会
お問合せ ハローダイヤル 03-5777-8600

関連イベント

未定

展覧会の構成

#1 原点=住宅

安藤忠雄にとって、人間の<住まう>という最も根源的な営みを受け止める、住宅こそが建築の原点です。その作品の展開の中で、限定された素材の使用、幾何学的構成の追及、自然との共生といったテーマに象徴される、安藤建築の原型は完成しました。ここでは、初期の代表作である「住吉の長屋」から近年の圧倒的スケールの海外住宅作品まで、100 を超える住宅作品の全てを、一挙公開します。

住吉の長屋
住吉の長屋
1976年、大阪府大阪市
撮影:新建築社
小篠邸
小篠邸
1981年、兵庫県
撮影:新建築社

#2 抽象化された自然

安藤建築の特徴の一つは、厳格な幾何学に沿って、極限までそぎ落とされたような造形のシンプルさです。その無地のキャンパスのような空間に、光や風といった自然の息吹が映し出されることにより、安藤忠雄の目指す<空間>が生まれます。その意図がもっとも端的に現れているのが、機能を持たない祈りの場として計画された、一連の教会の建築でしょう。ここでは、その代表作を紹介しながら、さらにインスタレーションとして、原寸大の「光の教会」の空間を再現します。

光の教会
光の教会
1989年、大阪府茨木市
撮影:松岡満男
水の教会
水の教会
1988年、北海道
撮影:白鳥美雄

#3 余白の空間

自らを「都市ゲリラ」と称した安藤忠雄が、都市というテーマに対して、一貫して試みてきたのが、意図的な余白の空間をつくりだし、人の集まる場を生み出すことでした。商業施設のパブリックスペースの積極的なデザインから始まったその挑戦は、次第にスケールを上げていき、「表参道ヒルズ」の吹き抜け階段広場のような、都市空間を生み出すに至ります。近作であるメキシコでの「モンテレイ大学RGSセンター(2012年,モンテレイ)」や中国での「上海保利劇場」などに見られるダイナミックな空間表現は、この<余白>の新たなる展開といえるでしょう。

表参道ヒルズ
表参道ヒルズ
2006年、東京都
撮影:松岡満男
上海保利劇場
上海保利劇場
2014年、上海/中華人民共和国
撮影:小川重雄

#4 風景の創造

都市の建築家としてスタートした安藤忠雄が、大自然に包まれた立地での建築に挑戦するようになったのは、1980 年代末からでした。抗うべき対象のないとき、安藤が試みたのは、敷地の持つ個性を最大限引き出し、その場所にしか出来ない風景を創り出すことでした。その挑戦は「水の教会」のような規模から始まり、「近つ飛鳥博物館(1994年,大阪府)」のような公共建築、さらには「淡路夢舞台(1999年,兵庫県)」のような都市的スケールへと展開しますが、そのプロセスのユニークさという点で、特筆すべきは 30 年余りに及ぶ、香川県 直島での一連のプロジェクトでしょう。

ベネッセハウスミュージアム
直島 ベネッセハウス
1992年/1995年、香川県直島町
撮影:松岡満男
ベネッセハウス オーバル
ベネッセハウス オーバル
1995年、香川県 直島
撮影:藤塚光政

#5 記憶の継承

「あるものを生かし、ないものを創る」安藤忠雄にとって、歴史の刻まれた建物の再生は、常に挑戦心をかき立てられるテーマでした。こうした計画は、技術的、経済的な困難が大きいため、中々実現はしません。それでも、あきらめずに挑戦を続けた安藤は、1990年代頃から「大山崎山荘美術館(1995年,京都府)」「国際子ども図書館(2002年,東京都)」など、いくつかのプロジェクトを成功させ、2000 年代には歴史都市ヴェニスで、海の税関「プンタ・デラ・ドガーナ」を手掛けるに至ります。現在もパリ中心部で、16 世紀に端を発するかつての穀物取引所(ブルス・ドゥ・コメルス)の改修プロジェクトに取り組んでいます。

プンタ・デラ・ドガーナ
プンタ・デラ・ドガーナ
2009年、ヴェニス/イタリア
撮影:Palazzo Grassi S.p.A, Orsenigo Chemollo / ORCH