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セクション3 大和和紀

Theme 1 王道少女漫画の新星

大和和紀は1966年、18歳でデビューすると、瞬く間に少女漫画界の新星として頭角を現す。1968年には『週刊少女フレンド』(講談社)で初連載「ごきげんふたごちゃん」を開始し、以後は複数の連載と10本以上に及ぶ短編を並行して発表するなど、目覚ましい活躍を見せた。
1970年代初頭には、すでにその表現の幅の広さが際立っている。「モンシェリCoCo」(1971年)では、花の都・パリを舞台に、主人公ココ=シャルマンがファッションデザイナーとして才能を開花させていく姿を描き、当時の流行を鋭敏に捉えた華やかな衣装表現と職業ものとしてのリアリティを両立させた。また、「ラブパック」では早くも『源氏物語』を大胆に翻案し、軽妙なラブコメディとして再構築している。大和は少女漫画の王道を体現すると同時に、それを次々と軽やかに更新していった。

モンシェリCoCo

『週刊少女フレンド』(講談社)1971年4月20日号(17号)–12月7日号(50号)
おしゃれが好きでファッションセンスに溢れる少女ココ=シャルマンが、パリのファッション界を皮切りに、世界を股にかけるデザイナーとして力強く成長していく姿をドラマチックに描く。連載当時のモードの先端をふんだんに描いた華やかな画風、ステキな恋、夢溢れる展開で人気を集め、1972年にはTVアニメ化もされた。

ラブパック

『週刊少女フレンド』(講談社) 1973年4月24日号(17号)–12月4日号(49号)
幼い頃に菜の花畑で結婚の約束をした若君を思い続ける快活な少女・菜(な)の君(きみ)。17歳となり、都で浮名を流す光源氏に気に入られ京で暮らすことになった彼女は、ある日世を騒がす神出鬼没の義賊・疾かぜ風と出会う……。「あさきゆめみし」の6年前に描かれた、『源氏物語』を題材とする平安ロマンチックコメディ。

冬の祭り日

『週刊少女フレンド』(講談社)1975年2月5日号(3号)
新庄家の一人息子・稔とその家に仕えるじいやの孫・真吾は、両親を亡くし新庄家に身を寄せた少女・すずなと出会う。ともに過ごすうち真吾に幼い恋心を抱くすずな。だが彼は突然母に引き取られ、幸せな日々は終わりを迎える。時が過ぎ、稔とすずなの間に婚約話が持ち上がった頃、再び真吾が……?幼い時をともに過ごした三人の愛のドラマ。

Theme 2 女性が輝く時代へ

大和和紀の代表作として広く知られる「はいからさんが通る」(1975-77年)は、大正ロマンの時代を背景に、活発で勝気な主人公・花村紅緒が自分の意志で運命を切り拓いていく様を描いた波瀾万丈なラブコメディだ。伊集院少尉との運命的な出会いや劇的なすれ違いなど、メロドラマ的な演出も大きな魅力である。しかし、この作品が多くの読者を惹きつけてやまない理由は、何よりも「女性の自立」という主題を、明るさと力強さをもって描ききった点にある。時代の制約のなかでも自分らしく生きようとする紅緒の姿は、読む者に鮮やかな印象を残す。
さらに、本作は、「ヨコハマ物語」(1981-83年)と「N.Y. 小町」(1985-88年)とあわせて明治・大正3部作と呼ばれている。大和が描いた時代の転換期に力強く生きた女性像は、現代を生きる私たちへの応援歌となっている。

はいからさんが通る

『週刊少女フレンド』(講談社)1975年4月5日号(7号)–1977年4月5日号(7号)

花村紅緒はお転婆で男勝りな女学生。親が決めた許婚・伊集院忍少尉に反発しながらも次第に惹かれていく紅緒だったが……。大正という激動の時代を舞台に、恋にも仕事にも全力で立ち向かい、逞しく生きる主人公を描いた波瀾万丈なラブコメディ。大和作品に通底する自立した女性像とユーモアのバランスが絶妙な名作。

ヨコハマ物語

『週刊少女フレンド』(講談社)1981年1月30日号(3号)–1983年11月20号(23号)
親を亡くし、11歳で横浜の貿易商・叶屋に引き取られた卯野(うの)は、同い年の令嬢・万里子と出会う。お転婆な万里子と素朴な卯野は身分を超えて心を通わせ、隣家の森太郎(しんたろう)とも親しくなる。やがて森太郎は医学のため海外へ渡り、万里子の家も存続の危機に直面する。明治の時代を背景に、それぞれの道を歩み始めた若者たちの恋と成長の物語。

N.Y.小町

『週刊少女フレンド』(講談社)1985年8月5日号(16号)–1988年8月20日号(17号)
文明開化直後の東京、小間物問屋の跡取りとして男のように育てられた志乃だったが、弟が生まれたことにより突如「女性」に戻ることになり目標を見失ってしまう。そんな折、「お雇い外国人」としてアメリカから来日したアーヴィングと出会い、新天地ニューヨークを目指して旅立つ。時代の転換期に恋に仕事へと破天荒に突き進む小町娘の冒険ロマンスコメディ。

Theme 3 大和和紀の西欧ロマン

日本の歴史を題材とした作品の印象が強い大和だが、1970年代を中心にヨーロッパやアメリカを舞台にした耽美で抒情的な作品も手がけている。
「KILLA」(1977-78年)はロンドンの演劇界という華やかな舞台設定から始まる、冷酷無比な美青年キラ=クイーンを主人公としたピカレスク・ロマンである。彼の持つ魅力と残酷さは、周囲の人間を次々と破滅に導いていく。また、「カルフォルニアララバイ」(1977年)は、アメリカを舞台に、ブロードウェイに憧れるクラブ歌手ヴァレリの恋と夢、音楽を通して結ばれる家族の絆をテーマにした物語。いずれも大和流の異国情緒に乗せて、華やかな世界の光と影を描き出している。

クレムリンの丘に眠れ

『別冊少女フレンド』(講談社)1972年4月号・5月号
幼い頃、とある地方の村人夫婦に拾われ、活発に成長した少女レーナは、森で黒づくめの男・アンドルウと出会う。彼は自分が皇帝と愛人の間に生まれた王女だと告げ、「一緒に来れば皇帝に会わせる」と言う。レーナは迷いながらロシア社交界に踏み込むが、アンドルウにはある思惑が……。帝政ロシアが舞台のシリアスな物語。

薔薇子爵

『月刊mimi』(講談社)1976年4月号、11月号、1977年5月号、12月号
とある事情で故郷から出奔した貴族の娘フェーデは、偶然の導きにより、天使にも似た美しさを備えたギデオン子爵と出会う。薔薇に覆われた館で、老いた召使いと隠れるように暮らす彼と少しずつ心を通わせるフェーデだったが……?性を超越した謎多き青年・ギデオンを中心に描かれた耽美と幻想の連作短編。

ねむり草の夢

『別冊少女フレンド』(講談社)1976年9月号
舞台は緑に包まれた田舎町のサマーフィールド。ひねくれ者でいつも自分をからかってくる従姉のマイアが、ひと夏の間家で過ごすと聞かされたエマは憂鬱な気持ちに。久々に再会したマイアは相変わらずで、エマが苛立ちを募らせていたある日、想いを寄せる幼馴染のセシルにマイアがキスする場面を目撃してしまい――!?

ライオンたちの城

『別冊少女フレンド』(講談社)1976年11月号
静養のため町を離れたリーが、かつて通ったライオンズ=キャッスルの学園に戻ってきた。婚約者ジェットとの再会を喜んだのもつかの間、校内には生徒会長である彼が作ったルールを巡って生徒同士が反目する不穏な空気が流れていた。ジェットの変化に戸惑うリーは彼の右腕と言われるサムエルと距離を縮め、それが学園を巻き込む争いに……。

KILLA

『週刊少女フレンド』(講談社)1977年8月5日号(15号)–1978年11月5日号(21号)

大作映画『リチャードⅢ世』の主役に抜擢され、ロンドン演劇界におけるスターの座を手にした美青年・キラ=クイーン。その華やかな歩みの裏には、他者を踏み台にし、あらゆる汚い手も辞さずに成り上がろうとする、一人の男のむき出しの野望が隠されていた。人間の怨恨や愛憎が渦巻く世界をシリアスに描き出したピカレスク・ロマン。

カリフォルニアララバイ

『別冊少女フレンド』(講談社)1977年12月号–1978年2月号
ブロードウェイの舞台を夢見るサンフランシスコのナイトクラブ歌手・ヴァレリは、ある夜、ピアニストの名家生まれの青年・ジーンに声をかけられ、恋に落ちる。二人は周囲の反対を押し切って結婚。可愛い娘を授かり、ブロードウェイへのチャンスも掴みかけるが――。華やかなショービジネスの光と影と、家族の絆を描いたドラマ作品。

影のイゾルデ

『別冊少女フレンド』(講談社)1982年10月号–12月号
奴隷解放が進む南北戦争後のアメリカを舞台にした、作者には珍しいサスペンスホラー作品。17歳の少女・サスキアは母の実家であるド・ヴィルゴール家に相続人として迎えられ、かつての女主人イゾルデの夫であるルイと暮らすことになる。しかし、それを機に17年前に死んだイゾルデが亡霊となって現れ、屋敷に恐るべき異変が起こり始める。

Theme 4 学園青春ストーリー

少女漫画といえば学園ものを思い浮かべる人も多いように、学校という場は本ジャンルにおいて重要な舞台である。大和もまた、この学園という設定を土台に、多様な物語を展開してきた。
突飛な設定と軽妙なテンポが魅力のドタバタコメディ「アラミス’78」(1978-84年)をはじめ、戦前の野球史を題材にした青春群像劇「紀元2600年のプレイボール」(1979-80年)、映画製作に打ち込む若者たちを描いた「あい色神話」(1980年)、音楽大学が舞台の「翼ある者」(同年)、さらに医師を志す女性の歩みを描く「菩提樹」(1984-85年)など──同じ「学園」という舞台でありながら、その内容はきわめて多彩で幅広い。大和は身近な日常の空間を、自在に変奏させる名手である。

アラミス’78

『別冊少女フレンド』(講談社)1972年7月号– 1984年8月号までシリーズ連載

生徒にナメられないためパンクファッションで赴任初日の教壇に立った新米教師・谷杏子と、高校生らしからぬ口ひげがトレードマークのアラミスこと海神龍之介。個性溢れる二人が繰り広げるドタバタな恋模様を描く学園ラブコメディ。当時流行したアニメや歌謡曲のパロディをふんだんに盛りこんでいる。

紀元2600年のプレイボール

『週刊少女フレンド』(講談社) 1979年1月20日号(2号)–1980年3月20日号(6号)

昭和14年、いまだ民衆が江戸時代さながらの時代錯誤な暮らしを営む旧青葉藩で、突然元藩主の家を継ぐことになった青年・青葉竹千代の活躍を描くコメディ作品。竹千代は周囲からバカにされる母校・青葉学問所の汚名を返上するために野球で甲子園を目指す。

翼ある者

『週刊少女フレンド』(講談社)1980年5月20日号(10号)–6月20日号(12号)

天賦の指揮者の才を持ちながらも、音楽への情熱を失いつつある音大生の深尾海里(ふかみかいり)と、亡き恋人シオンへの想いを胸に抱き続ける宮村流花(みやむらるか)。そんな二人の出会いから始まる、深い愛の物語を描いた叙情溢れるロマンス作品。1974年に『週刊少女フレンド』で連載された「ひとりぼっち流花」の主人公・流花のその後を描いたエピソードでもある。

あい色神話

『週刊少女フレンド』(講談社)1980年10月20日号(20号)–12月5日号(23号)

真面目で堅実、彼氏は品行方正な生徒会長という優等生の桂子と、映画製作に熱を上げる洪介――。1970年に高校の同級生として出会った男女が歩む10年ごしの恋を描く。学生時代に互いを意識しながらも、想いが噛み合わずに離れてしまった二人。安泰な結婚生活を選ばずに出版社に勤めた桂子は、気鋭の監督となった洪介と再会し……。

フスマランド4.5

『週刊少女フレンド』(講談社)1984年1月20日号(3号)–4月5日号(8号)
全寮制の桜の園高校に通う超カタブツ女子の嘉智子(かちこ)は、ある夜、寮の古びた和室のフスマから異世界の「フスマランド」に迷い込んでしまう。現実と異世界を行き来し、見知らぬ美人の姿で冒険していたが、ある時から陽気でおかしな住民たちが現実世界に……!?大和作品のなかでも特にドタバタ色の強いファンタジーコメディ。

菩提樹

『週刊少女フレンド』(講談社)1984年6月20日号(13号)1985年6月20日号(13号)
医学部に入学した麻美は、亡き父と同じ医師の道を歩むことを条件に篤志家、“あしながおじさん”の支援を受けてきた。仲間と奮闘する姿をさわやかに描きつつ、医師になるという使命と生命への畏怖、恋愛と友情・敬慕のはざまで揺れ動く心を繊細に映し出す。菩提樹に見守られ、秘めた感情や成長の痛みが、ときに強く胸に迫る青春物語。

なんと王子さま!?

『少女フレンド』(講談社) 1990年5月5日号(10号)–7月20日号(15号)

小学生で両親を失い、アルバイトのモデル業に追われながら日々を過ごす高校生の悠理は、ある日、行方不明になっている兄のパスポートを手にした謎の男と遭遇する。ナディーンと名乗る彼は兄が探していた伝説の国アルスラーンの王子様だった。世界を知るために勝手に国を飛び出してきたヘンテコな王子さまとの恋を描くラブコメディ。

Theme 5 日本古典文学への挑戦状

1980年代を迎える頃、大和は平安時代の物語文学『源氏物語』の完全漫画化という壮大な試みに取り組む。「あさきゆめみし」(1979-93年)は、光る君(光源氏)が幼き日の喪失を抱えながら、多くの女性と関係を結び、栄華と衰退をたどる王朝ロマンである。千年以上前の物語をもとにしながら、大和は、登場人物たちの心情を現代の読者が寄り添い、共感することができる恋愛絵巻として、リアリティを持って描写した。
その魅力は物語の翻案にとどまらない。寝殿造りや装束に至るまで緻密な時代考証がほどこされる一方で、御簾や几帳による空間演出、髪の描線による感情表現、緊張を高める黒ベタの効果的な使用など、漫画ならではの視覚表現が高度に結実している。本作は、古典文学を単に読みやすく置き換えるのではなく、新たな視覚言語によって再創造する試みであった。

あさきゆめみし

『月刊mimi/mimi』(講談社) 1979年12月号–1986年7月25日号(No. 14)

『mimi Excellent』 1986年No. 1–1993年No. 27

平安時代に成立したとされる「いろは歌」の一節をタイトルに冠し、誰もが知る日本最古の長編物語文学である紫式部の『源氏物語』を漫画化。70年代に数々の恋愛ものを描いた大和が満を持して取り組んだ大人の恋物語であり、正確な時代考証による精緻な背景描写で『宇治十帖』を含め全巻を描ききった。高校などの教育現場で古典を学ぶ“参考書”としても読み継がれている。

Theme 6 アットホーム・コメディ!?

1990年代に入り、出産や子育てを経験した大和の作品世界は、新たな広がりを見せる。

「ハイヒールCOP」(1989-97年)は、破天荒な女性刑事が理想の男性像「5E(イー)」を求めつつ事件を解決していくサスペンスコメディであり、笑いとアクションを融合させた作品である。「にしむく士(さむらい)」(1997ー2001年)では、江戸に生きる若い夫婦の慎ましい日常が温かな視線で描かれる。また「ベビーシッター・ギン!」(1997-2007年)は、男性でありながらプロのナニー(乳母)を自認するギンが、様々な家庭の問題に向き合い解決へ導く連作であり、教育や家族のあり方をユーモラスに提示している。
これらの作品に共通するのは、家庭や子どもをめぐる現実を直視しながらも、それを軽やかに受けとめようとする態度である。笑いに包まれた日常の描写は、同時に時代の変化や新しい家庭像を先取りするものでもあった。

ハイヒールCOP

『mimi』『mimi Carnival』『Kiss』に連載

『mimi』(講談社) 1989年3月10日号(No.5)–1993年5月号/新シリーズ 1995年2月号–『 Kiss』(講談社)1997年9月10日号(No.10)

警部補として警視庁保安二課に勤めるスーパーレディ・巡市子(めぐりいちこ)の活躍を一話完結形式で描く刑事コメディ。容姿E(いい)、性格E、センスE、マナーE、頭Eな「5E」の男を探す彼女だが、お眼鏡に適う男はなかなかおらず、中にはやり手の犯罪者も……。家事バッチリの甥の雄太も含め、個性派キャラが数多く登場するポップで軽妙な展開が魅力だ。

ベビーシッター・ギン!

『Kiss』(講談社)1997年12月25日号(No. 17)–2007年1月25日号(No. 2)

映画のメリー・ポピンズさながらのスタイルで現れるプロフェッショナルなベビーシッター・下落合ギンが、子育てをめぐって悩む親たちを救う育児コメディ。初めての育児に疲れ果てた母親に癒しを与え、男女や世代による意識格差にも鋭い活を入れる内容が子育て世代の読者から人気を集め、2019年には実写ドラマ化もされた。

にしむく士

『BE・LOVE』(講談社)1997年4月15日号(8号)–2001年4月15日号(8号)

房州(千葉)に生まれ、下級武士の仲村半四郎の妻となり一男を授かった若奥様・ゆきえを主人公にした人情派の時代物ファミリーコメディ。半四郎が叔父の跡を継いで徒士組同心となり、江戸の組屋敷で暮らしはじめた一家だが慣れない生活にてんてこまい。ゆきえは組頭の尾花など周囲の人々の助けを借りながら奮闘する。

Theme 7 歴史に生きた女性たち

大和は、歴史の中で確かに生きた女性たちの姿を繰り返し描いてきた。そこにあるのは、時代の制約のなかにありながらも、自らの意志で運命を切り拓こうとする人物へのまなざしである。

「レディーミツコ」(1975-76年)は、国際結婚という道を選んだ青山光子の劇的な人生を描いた作品であり、「はいからさんが通る」と並行して発表された点においても注目される。また、「天の果て地の限り」(1978-79年)では、壬申の乱という政変を背景に、歌人として名高い額田女王の生き様が描かれる。さらに、「イシュタルの娘~小野於通伝~」(2009-17年)は、安土桃山から江戸初期にかけて活躍した才女であり文化人である小野於通の生涯を丁寧にたどった長編歴史作品である。大和はキャリアを通して、時代を超えて響く女性の姿を一貫して表現し続けてきた。

天の果て地の限り

『月刊mimi』(講談社)1978年12月号–1979年2月号

大海人皇子(おおあまのみこ)から求婚を受けながらも巫女の道を望んだ額田女王は(ぬかたのおおきみ)、大化の改新を経て、その兄・中大兄皇子(なかのおおえのみこ)からも想いを寄せられる。二人の英雄の間で心揺れながら、額田は自らの心を映す和歌を詠む。争いの絶えない歴史の転換期を生きる額田女王の姿を軸に、愛と運命に向き合う人々を描く、飛鳥時代の恋愛物語

レディーミツコ

『別冊少女フレンド』(講談社)1975年12月号–1976年2月号

1874(明治7)年、東京の骨董屋に生まれた青山光子は、オーストリア=ハンガリー帝国の代理大使として来日した貴族、クーデンホーフ伯爵を看病するうちに愛が芽生え、周囲の反対を越え結婚。渡欧後、偏見と困難に向き合い7人の子を育てる。時代と運命に翻弄されながらも気高く生き抜いたレディーミツコの異国情緒溢れる伝記漫画。

イシュタルの娘~小野於通伝~

『BE・LOVE』(講談社)2009年9月15日号(18号)–2017年11月15号(22号)

時は戦国時代、人の天命が見える不思議な力を持って生まれた於通は、書や芸術にたぐいまれな能力を発揮した。その感性は織田信長、豊臣秀吉、徳川家康と三人の天下人にみとめられ重用される。実在した謎多き才女、小野於通の生涯を、自らの才覚で乗り越える自立した女性の生き様としてさわやかに描いた歴史絵巻。

Theme 8 イラストレーションに見る幻想世界

1970年代、大和は雑誌の表紙や口絵、ピンナップなど数多くのイラストレーションを手がけている。ここでは、1981年に出版された画集『大和和紀自選画集 クリスタルファンタジア』(講談社、フレンドDELUXE)に収録された作品を中心に紹介する。

異国の神話や伝説をモチーフとした作品、幻想世界の住人たちを描いた作品など、そこには漫画とは一味異なる世界観が広がっている。繊細な色彩と華やかな画面構成によって生み出されたイラストレーションの数々は、大和の豊かな想像力と美意識、ロマンへの憧憬を感じさせる。