25 《ヴィーナス》
イタリアの版画家ジョヴァンニ・アントニオ・ダ・ブレシアは、古代彫刻に基づく版画を数多く手がけています。彼やマルカントニオ・ライモンディが制作した古代彫刻の版画は、ヨーロッパ各地で人物像を描く際の手本とされ、広く影響を及ぼしました。この版画に表されているのは、1509年にローマで発見されたヴィーナス像(マリブ、J. ポール・ゲッティ美術館)ですが、忠実な再現ではなく、キリスト教の図像が盛り込まれています。長く垂らした髪、首飾り、ほつれたウールのような布は、古代の女神ではなく、聖書の登場人物であるマグダラのマリアの特徴です。