11-1 《田園の合奏》
石造りの建物の壁を飾る豪華なタペストリーは、保温効果を持ち、間仕切りに使うこともできた実用的な装飾品でした。また、持ち主が移り住む時に取り外して運べることも、タペストリーの利点でした。本作品のようなミル・フルール(千花文様)のタペストリーは、部屋の壁全体を覆うために何枚かのシリーズとして制作され、多くの場合、貴族の生活と関連する場面が表されました。このタペストリーでは、豪華な服装をした一組の男女がともに楽器を演奏し、彼らの足元には従者の若者と侍女がいます。合奏を楽しむ恋人たちは、伝統的に愛の調和を意味するモチーフでした。手前の侍女は、実り豊かな結合の象徴とされるナシの果実を手にしており、この合奏が幸せな結末を迎えることを暗示しています。