国立新美術館の建築

国立新美術館は、のべ14,000㎡の国内最大級の展示スペースを有する美術館です。館内には、12の展示室、アートライブラリー、講堂、研修室等があるほか、レストラン、カフェ、ミュージアムショップなどの付属施設の充実も図っています。
「森の中の美術館」をコンセプトに設計された建物の南側は、波のようにうねるガラスカーテンウォールが美しい曲線を描き、円錐形の正面入口とともに個性的な外観を創り出しています。吹き抜けの1階ロビーからは、このガラス越しに、青山公園など地域の緑にとけこむように植栽された草木の四季折々の眺めを楽しむことができます。また、免震装置による地震・安全対策、雨水の再利用による省資源対策、床吹出し空調システム等の省エネ対策、ユニバーサルデザインへの対応、地下鉄乃木坂駅直結の連絡通路など、様々な機能性を追求した設計となっています。

設計者

黒川紀章・日本設計共同体

黒川紀章 Kisho Kurokawa
1934年、愛知県生まれ。京都大学建築学科卒業後、東京大学大学院に進み、丹下健三研究室に所属。1960年、26歳で菊竹清訓らとともに建築の理論「メタボリズム」を提唱。1962年、黒川紀章建築都市設計事務所を設立。主な作品に、中銀カプセルタワービル、埼玉県立近代美術館、名古屋市美術館、広島市現代美術館、和歌山県立近代美術館・博物館、福井市美術館、ヴァン・ゴッホ美術館新館(オランダ)、クアラルンプール新国際空港(マレーシア)などがある。日本建築学会賞、日本芸術院賞、フランス芸術文化勲章をはじめ、国内外での受賞多数。2006年、文化功労者に選ばれる。2007年10月、73歳で死去。
国立新美術館は、黒川紀章氏が設計した数多くの美術館の中で、氏の生前に完成した最後の美術館である。

開館時に寄せられたメッセージ
国立新美術館は、世界でも有数の企画展示室・公募展示室をあわせ持つ美術館である。10を超える展覧会が同時並行で開催できるよう、作品の搬出入や来館者の動線などあらゆる意味で機能性を重視している。1階ロビーのアトリウムは21.6mの天井高で、透明で大波のようにうねる外壁面が特色である。日射熱・紫外線をカットする省エネ設計でありながら、周囲の森と共生する建築である。いつも人々が訪れ、レストラン、カフェ、ミュージアムショップが、新しい東京の芸術文化のサロンとなることを願っている。

黒川紀章氏インタビュー
「建築家に聞く 黒川紀章」(『国立新美術館 準備室ニュースNo.1』2004年)

株式会社黒川紀章建築都市設計事務所

株式会社 日本設計 NIHON SEKKEI, INC.
1967年設立の総合設計事務所。美術館や博物館の設計実績は数多く、独自の設計としては、高知県立美術館、岩手県立美術館、山種美術館、三重県総合博物館、高知城歴史博物館などがあり、他の建築家との共同設計としては国立新美術館の他、長崎県美術館や三井記念美術館などがある。現在も国立新美術館の運営支援企業として、美術館の活動を継続的に支援している。

株式会社 日本設計

建築概要

所在地:東京都港区六本木7丁目22番2号
設計監理:黒川紀章・日本設計共同体
施工:鹿島・大成・松村特定建設工事共同企業体、清水・大林・三井特定建設工事共同企業体
着工:2002(平成14)年7月16日
竣工:2006(平成18)年5月31日
階数:地上4階(1階、中2階、2階、中3階、3階、4階)、地下1階
構造:鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート)
建築面積:12,989.56㎡
延床面積:49,834.12㎡

国立新美術館の建築や設備に関する受賞:
International Architecture Awards 2006(The Chicago Athenaeum: Museum of Architecture and Design、2007年)
照明普及賞(優秀施設賞)(一般社団法人照明学会、2007年)
第8回日本免震構造協会作品賞(一般社団法人日本免震構造協会、2007年)
2008年度グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会、2008年)
第49回BCS賞(作品賞)(一般社団法人建築業協会、2008年)