DOMANI・明日展 2021
文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち

利部志穂《Sunrise Surfer / 逃げ道、目印、道しるべ》2015年
※参考図版 撮影:若林勇人

大田黒 衣美 《sun bath》 2019

展覧会概要

例年、年の初めに国立新美術館で開催してきた「DOMANI・明日展」は、今年度で第23回目を迎えます。本展の会期を2021年1月30日~ 3月7日と定め、準備をはじめました。春先からのパンデミックと深い文化的な中断を経て、開催までにまだハードルがいくつも想定されます。しかし、こうした状況だからこそ、文化庁が若手中堅作家を支援する仕組みをゆるぎなく持続する旗印として、この夏、オンライン上で初めて展開し、好評をいただいた「DOMANI・明日展plus online 2020」に続いて、ふたたび国立新美術館でのリアルな展示にたちもどります。

今回は、過去10年間に各国で研修経験を持った7人の新進作家に、それ以前に研修を経て、現在、アートシーンの最前線で活躍する竹村京・鬼頭健吾、袴田京太朗を加え、「2020年代」を迎えた日本のアクチュアル、かつ国際的にひらかれた表現を浮かび上がらせます。サブタイトルを「スペースが生まれる」としました。東日本大震災からまる10年を目前としたいま、いまだ記憶に深い被災によって生じた空間/景観の余白と、コロナ禍のstay homeで体験した時間的余白を経て、あらためてなにがほんとうに大事なのかを考えなおし、次代への扉をひらく時期を迎えているとの願いを込めました。

国際的な移動や発表を前提に活動してきた作家たちが、長期にわたる閉塞状態のアートシーンに遭遇したなかで思考を重ねた展覧会をご期待ください。

※文化庁 新進芸術家海外研修制度

会 期 2021年1月30日(土)~3月7日(日)
毎週火曜日休館
※ただし、2月23日(火)は開館、2月24日(水)は休館
開館時間 10:00~18:00
当面の間、夜間開館は行いません。
※入場は閉館の30分前まで
会 場 国立新美術館 企画展示室2E
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
主 催 文化庁、国立新美術館
協 力 日本航空、フォトグラファーズ・ラボラトリー、フレームマン、堀内カラー、TARO NASU、KAYOKOYUKI、資生堂
制 作 アート・ベンチャー・オフィス ショウ
観覧料(税込)
当日 1,000円(一般)、500円(大学生)
前売 800円(一般)、300円(大学生)
  • 高校生、18歳未満の方(学生証または年齢のわかるものが必要)は入場無料。
  • 障害者手帳をご持参の方(付添の方1名含む)は入場無料。
  • 新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止のため、本展では団体券の販売をしないことといたしました。
  • 前売券は、展覧会ホームページ、ローソンチケット(Lコード:34368)、イープラスでお求めください。(2021年1月4日(月)から1月29日(金)までの販売。以降は当日券のみの取扱い。手数料がかかる場合があります)国立新美術館での前売券の販売はありません。
  • 会期中に当館で開催中の他の企画展および公募展のチケット、またはサントリー美術館(あとろ割対象)で開催中の展覧会チケット(半券可)を提示された方は、本展覧会チケットを200円割引でご購入いただけます。
  • 国立美術館キャンパスメンバーズ加盟の大学等の学生・教職員は本展覧会を学生300円、教職員800円でご覧いただけます。
  • その他の割引などお得な情報はこちらをご覧ください。
  • 会場での観覧券購入に次のクレジットカードと電子マネー等がご利用いただけます。
    クレジットカード:UC、MasterCard、VISA、JCB、AMEX、Diners Club、DISCOVER
    電子マネー:Suica(スイカ)、PASMO(パスモ)、ICOCA(イコカ)等、iD その他:J-Debit、銀聯
お問合せ 03-5777-8600(ハローダイヤル)
取材に関するお問合わせ 「DOMANI・明日展」 広報事務局(アート・ベンチャー・オフィス ショウ内) 担当 市川・佐藤
〒151-0063 東京都渋谷区富ヶ谷1-18-8-301
Tel:03-3485-7866
Fax:03-3485-7851
E-mail:avo-shou.pr@ktd.biglobe.ne.jp
(平日10:00~17:00)

出品作家

※作家の説明として、表現領域・海外研修派遣年数・派遣国を記載しています。

大田黒 衣美

現代美術
2018年度(1年間)・ドイツ/ベルリン
1980年、福岡県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。現在、愛知県を拠点に活動。
ウズラの卵やチューイングガム、石膏やビニールシートといった従来の絵画材料とは異なる素材を使った作品は、あいまいな意識を刺激し、不安定な心に潜む原始的な知覚や思念を顕現させる。ベルリン滞在後では写真によって現実とは異なるスケールで表現する手法を展開しており、本展が日本初の公開となる。
主な展覧会・受賞歴に、個展「Mesa」Künstlerhaus Bethanien (ベルリン,ドイツ/2020)、個展「spot」KAYOKOYUKI(東京/2017)、個展「project N 55」東京オペラシティ・アートギャラリー(2014)、「アートアワードトー キョー2008」グランプリ受賞 丸の内行幸地下ギャラリー(東京/2008)、ALLOTMENT トラベルアワード2016 グランプリ受賞(2016)など。

大田黒 衣美《sun bath》2019.
大田黒 衣美《sun bath》2019

利部 志穂

現代美術、彫刻
2006年度(2年間)・イタリア/ミラノ
1981年、神奈川県生まれ。摩美術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。現在、東京都を拠点に活動。
生活のなかで不要となったものや壊れた廃棄物などを解体し、それらによって形を作るのではなく空間配置における自然な瞬間を抽出し、インスタレーション、映像、パフォーマンスなど様々な方法で新たな関係性を生み出す制作を続ける。
主な展覧会に、個展「Mantle Plume/イザナミ、ペレの怒り」KAYOKOYUKI(東京/2019)、「所沢ビエンナーレ 引込線2015」旧所沢市立第2学校給食センター(埼玉/2015)、「アーティスト・ファイル2013−現代の作家たち」国立新美術館(東京/2013)、「発信//板橋//2011 けしきをいきる」板橋区立美術館(東京/2011)、「VOCA展2010」上野の森美術館(東京/2010)など。

利部 志穂《Sunrise Surfer  逃げ道、目印、道しるべ》2015
利部 志穂《Sunrise Surfer / 逃げ道、目印、道しるべ》2015
撮影:若林勇人|参考作品

笹川 治子

現代美術
2019年度(短期)・ドイツ/ライプツィヒ、ドレスデン、ベルリン、デュッセルドルフ
1983年、大阪府生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻博士課程修了。現在、同大学非常勤講師、茨城県を拠点に活動。
博士論文「メディアと戦争——戦争画からゲームまで」を執筆、藤田嗣治の《アッツ島玉砕》に描かれたモチーフの検証をはじめ、作戦記録画や戦中プロパガンダにおける虚実について研究するなど、戦時中にアートがどのようにメディアとして扱われ人々に影響を及ぼしたかに注目し、映像作品やパフォーマンス、インスタレーションなど多様な表現で制作と考察を続けている。
主な展覧会に、「虚構のはずれ On the Verge of Fiction」 関渡美術館(台北/2019)、「1940's フジタ・トリビュート」 東京藝術大学大学美術館 陳列館(2018)、「戦争画STUDIES」東京都美術館(2015)、「アートアワードトーキョー丸の内2011」丸の内行幸地下ギャラリー(東京/2011)など。

笹川 治子《Beautiful Smile》2019|参考作品
笹川 治子《Beautiful Smile》2019|参考作品

髙木 大地

絵画
2018年度(1年間)・オランダ/ハールレム
1982年、岐阜県生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修士課程修了。現在、神奈川県を拠点に活動。
鳥や木、雨、窓などの身近なモチーフそれぞれの質感を色彩の重なりや様々なテクスチャーの筆致で描き、作家の中で「視る」から「描く」へと移行するときに体現化する世界は独自の幻想性に満ちている。本展では新作を交えて構成する。
主な展覧会に、「髙木大地、ルシア・ビダレス、山下紘加」 タカ・イシイギャラリー(東京/2020)、個展「Intuition」TIME & STYLE (アムステルダム/2019)、個展「aspect」KAYOKOYUKI(東京/2018)、「絵画の在りか」東京オペラシティアートギャラリー(2014)など。

髙木 大地《Wanderer》2020
髙木 大地《Wanderer》2020

新里 明士

陶芸
2011年度(1年間)・アメリカ/ボストン
1977年、千葉県生まれ。多治見市陶磁器意匠研究所修了。現在、岐阜県を拠点に活動。
ろくろで成形した白磁の生地に穴を開け、穴の部分に透明の釉薬をかけて焼成することで光を透過した文様が浮かび上がる「蛍手(ほたるで)」と呼ばれる技法を用いた現代的なデザインで国内外の注目を集める。本展では白磁ならではの精緻な意匠による作品とともに、制作過程における磁器の大胆な面に注目した作品群も展開する。
主な展覧会・受賞に、「和巧絶佳 令和時代の超工芸」パナソニック汐留美術館(東京/2020)、「現代6作家による 茶室でみる磁器の現在」被錦斎・一樹庵 根津美術館(東京/2017)、「現代の茶陶−利休にみせたい!−」茨城県陶芸美術館(2017)、U-50 国際北陸工芸アワード 奨励賞(2017)など。

新里 明士《luminescent vessel》2019(部分)
新里 明士《luminescent vessel》2019(部分)

春木 麻衣子

現代美術、写真
2017年度(1年間)・フランス/パリ
1974年、茨城県生まれ。玉川大学文学部芸術学科卒業。現在、フランスを拠点に活動。
極端に露出アンダー又はオーバーに撮影することで黒および白で一面が覆われた抽象的で清閑な写真作品の制作を続ける。近年では実在する風景と別の風景を印画紙上に重ねることで現実には存在しない空間をつくり出すシリーズを手掛けている。本展では初の試みとして、音によるインスタレーションも合わせた構成で展覧する。 主な展覧会に、個展「vision|noisiv」TARO NASU(東京/2017)、「Moment-時間のかけら」群馬県立近代美術館(2018)、「あざみ野フォト・アニュアル 写真の境界」横浜市民ギャラリーあざみ野(2014)、「日本の新進作家展 vol.10 写真の飛躍」東京都写真美術館(2011)など。

春木 麻衣子《vision | noisiv 08A》2017 ©HARUKI Maiko Courtesy of TARO NASU
春木 麻衣子《vision | noisiv 08A》2017
©HARUKI Maiko Courtesy of TARO NASU

山本 篤

現代美術、映像
2018年度(1年間)・ベトナム/フエ
1980年、東京都生まれ。多摩美術⼤学絵画学科油画専攻卒業。現在、東京を拠点に活動。現代社会が抱える問題を切り口にしたフィクション作品からごく私的なドキュメンタリー、コント的な実験作品など多彩な映像作品を意欲的に制作する。作家自身が登場人物を演じることも多く、奇妙な現実味を帯びた作品の中に取り込まれるような独特の世界観が高い評価を得ている。
主な展覧会に、「DOMANI・明日展 plus online 2020」オンライン展(2020)、個展「祈りのフォーム」Art Center Ongoing(東京/2020)、「どう生きるか #2 六本木にて」シュウゴアーツ(東京/2018)、個展「MAMスクリーン007」森美術館(東京/2017-18)、「奥能登国際芸術祭 奥能登⼝伝資料館」旧⼩泊保育所(⽯川/2017)など。

山本 篤《I》2019-2020
山本 篤《I》2019-2020

竹村 京

現代美術
2004年度(3年間)・ドイツ/ベルリン
1975年、東京都生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科修士課程絵画専攻油画修了。現在、群馬県を拠点に活動。
代表作に写真やドローイングの上に刺繍を施した白布を重ねた平面のインスタレーション、壊れた日用品の破損部分を白い絹糸で縫い直した修復シリーズがある。作家にとって「仮に」という状態を作り出すことを意図した刺繍という行為から、様々な記憶やものが再構築され、新たな存在として現れる。
主な展覧会に、「ヨコハマトリエンナーレ2020」横浜美術館(2020)、「長島有里枝×竹村京 まえ と いま」群馬県立近代美術館 (2019)、個展「どの瞬間が一番ワクワクする?」ポーラ美術館 アトリウムギャラリー(神奈川/2018)、「中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス」月出工舎(千葉/2014)など。

竹村 京《Prosaic Verse》2012|撮影:髙橋健治
竹村 京《Prosaic Verse》2012|撮影:髙橋健治

鬼頭 健吾

現代美術
2009年度(2年間)・ドイツ/ベルリン
1977年、愛知県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻修了。現在、京都芸術大学大学院教授、群馬県を拠点に活動。
大学在学中から作家活動を開始。アーティストによる自主運営スペース「アートスペースdot」(愛知県)を設立、運営に参加。フラフープ、糸、鏡などの日常にありふれた既製品とモーターなどを使った大規模なインスタレーションや、立体、絵画、写真など多様な表現方法を用いた作品を発表している。
主な展覧会・受賞に、個展「Full Lightness」京都市京セラ美術館(2020)、「六本木アートナイト 2018」国立新美術館(東京/2018)、個展「鬼頭健吾 Multiple Star」ハラミュージアムアーク (群馬/2017)、「DOMANI・明日展 PLUS」京都芸術センター(2016)、令和元年度京都市芸術新人賞(2020)など

鬼頭 健吾《cartwheel galaxy (savannah)》2020|撮影:木暮伸也
鬼頭 健吾《cartwheel galaxy (savannah)》2020|撮影:木暮伸也

袴田 京太朗

彫刻
1994年度(1年間)・アメリカ/フィラデルフィア
1963年、静岡県生まれ。武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。現在、武蔵野美術大学教授、神奈川県を拠点に活動。
ベニヤ板やFRP、電気コードなど様々に素材を変えながら、彫刻の表面と不可視の内部との関係性を問う。近年は彫刻の複製の問題に着目し、時に既製品を含むカラフルなアクリル板を重ね合わせた人型のシリーズを制作、従来の彫刻の概念を覆しつつ、一貫して「彫刻とは何か」を問う。
主な展覧会・受賞に、個展「袴田京太朗 循環しないレモンイエロー」カスヤの森現代美術館(神奈川/2019)、個展「袴田京太朗展 人と煙、その他」平塚市美術館(神奈川/2014)、「ミニマル/ポストミニマル」宇都宮美術館(栃木/2013)、「色めく彫刻−よみがえる美意識」群馬県立館林美術館(2012)、第22回タカシマヤ美術賞(2012)など

袴田 京太朗《アラニス》2014(部分)
袴田 京太朗《アラニス》2014(部分)