「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」展関連シンポジウム
「新たなイメージ論に向けて」

主旨

国立民族学博物館との共同企画展である「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」では、イメージの創造と享受のあり方に人類共通の普遍性はあるのかという問いを掲げ、世界各地の資料を擁する同館のコレクションから、約600点の多種多様な造形物(イメージ)を紹介します。本展覧会では、地域や時代によってイメージを分類するのではなく、共通した効果や機能に着目し、人間とイメージとのダイナミックな交流を検証するものです。同時にこれは、日本および西洋の近現代美術を中心に展覧会を開催してきた国立新美術館の活動を相対化する試みでもあります。
本展覧会に合わせて開催するシンポジウム「新たなイメージ論に向けて」では、西洋の美術史学が長い時間をかけて形成してきたイメージと人間との関係を問い直すとともに、そこから生まれる新たな視座を通じて、イメージが持つ根源的な力を再考します。

日時 2月22日(土)14:00~17:00(13:30開場)
場所 国立新美術館3階講堂
定員 先着260名(事前申込不要)
※聴講は無料ですが、本展の観覧券(半券可)が必要です。
※内容や日時は都合により変更になることがあります。

プログラム

13:30 開場
14:00- 主催者あいさつ
青木保(国立新美術館長)
14:10-15:20 パネリストによる発表

長屋光枝(国立新美術館主任研究員・企画室長/本展覧会担当者)
「美術史から見た『イメージの力』展―その問題の所在」
水沢勉(神奈川県立近代美術館 館長)
「自他のはざま 国立民族学博物館との三つの試み」
水野千依(京都造形芸術大学教授)
「イメージの奇跡、奉納、記憶―フィレンツェの聖母像をめぐる神聖空間」
15:20-15:40 休憩
15:40-17:00 全体討議
進行:青木保
参加者:パネリスト全員

パネリスト略歴

水沢勉(神奈川県立近代美術館 館長)
1978年に慶應義塾大学大学院修士課程修了後、神奈川県立近代美術館に学芸員として勤務、2011年に同館館長に就任。ドイツ語圏および日本の近現代美術、その交流史を専門とする。おもな展覧会に、萬鉄五郎展(1985年)、エゴン・シーレとウィーンの世紀末(1986年)、オットー・ディックス(1988 年)、芸術の危機 ヒトラーと退廃美術(1995年)、アントニー・ゴームリー Still Moving(1996年)、モボ・モガ 1910-1935(1996年)、新千年紀へのメッセージ―イスラエル美術の近代(2000年)、イリヤ・カバコフ『世界図鑑』―絵本と原画―(2007年)、第三回横浜トリエンナーレ タイムクレヴァス(2008年)、彫刻家エル・アナツイのアフリカ(2010年)、藤牧義夫(2011年)、国立民族学博物館コレクション ビーズ イン アフリカ(2012年)がある。著書に『この終わりのときにも』(思潮社、1989年)、『点在する中心』(共編著、1995年)など。
水野千依(京都造形芸術大学教授)
1992年京都大学大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了後、同年より3年間フィレンツェ大学(イタリア)文哲学部留学、1997年に京都大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学後、日本学術振興会特別研究員を経て現職。京都大学博士(人間・環境学)。専門は、イタリア・ルネサンス美術史。おもな著書に、『イメージの地層―ルネサンスの図像文化における奇跡・分身・予言』(名古屋大学出版会、2011年、第34回サントリー学芸賞ほか受賞)、『キリストの顔』(筑摩書房、近刊)、おもな訳書に、ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『残存するイメージ』(共訳、人文書院、2005年)がある。
長屋光枝(国立新美術館主任研究員・企画室長)
2000年に名古屋大学文学研究科博士後期課程満期修了後、ベルリン自由大学美術史学科留学。名古屋大学博士(文学)(課程)。専門は、ドイツ語圏を中心とした20世紀前半の西洋美術史。おもな展覧会に、20世紀美術探検―アーティストたちの三つの冒険物語(2007年)、アヴァンギャルド・チャイナ―<中国当代美術>二十年―(2008年)、オルセー美術館展2010「ポスト印象派」(2010年)、アーティスト・ファイル2011(2011年)、アンドレアス・グルスキー(2013年)、印象派を超えて―点描の画家たち(2013年)、訳書に、ダリオ・ガンボーニ『ルドン【アモンティラードの酒樽】』(共訳、三元社、2013年)がある。