中世の華・黄金テンペラ画－石原靖夫の復元模写｜Art Commons: Exhibitions Search in Japan

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中世の華・黄金テンペラ画－石原靖夫の復元模写チュウセイノハナ・オウゴンテンペラガ－イシハラヤスオノフクゲンモシャチェンニーノ・チェンニーニ『絵画術の書(Il Libro dell’ Arte)』を巡る旅

「テンペラ画」は、中世の絵画技法で、現在日本では、顔料を卵黄で練った絵具で描いた絵画のことを表します。中世のイタリアでは、絵画は宗教とかかわりが深く、絵に光を与え輝かせるために、金箔と絵具を組み合わせ、装飾的な刻印など工芸的な技法が施されたテンペラ画へと発展していきました。
石原靖夫は、この魅力的な古典技法を今に伝える日本を代表する画家です。東京藝術大学を卒業後、1970年にイタリア・ローマに渡りローマ国立中央修復研究所に在籍して、さまざまな絵画に出会い、黄金背景のテンペラ画の技法の研究に打ち込みます。そして、1972年から帰国する78年まで、6年をかけて、ゴシック期シエナ派の画家シモーネ・マルティーニの代表作《受胎告知》(1333年、ウフィツィ美術館蔵)の復元模写に取り組み、完成させました。この制作においては前例もなく、すべてが試行錯誤の中での作業であったと、石原は後に語っています。
目黒区美術館では、1992年「色の博物誌・青―永遠なる魅力」展において、本作品を紹介し、以来、石原による、テンペラ画制作や絵具づくりのワークショップを、継続的に開催し、古典技法への旅を共に続けてきました。
石原が、自身の制作と目黒区美術館でのワークショップ、そしてさまざまな指導の場において教本として大切にしてきたのが、14世紀の画家チェンニーノ・チェンニーニが著した Il Libro dell’ Arte です。これは、ジョット・ディ・ボンドーネに代表される当時の工房で代々伝えられてきた絵画技法が詳細に記されている歴史的な文献で、美術史家辻茂により『チェンニーノ・チェンニーニ絵画術の書』(岩波書店/1991年)として長い年月をかけて丁寧に翻訳され、日本語で読むことが可能です。石原は、イタリア美術史家の望月一史とともにこの翻訳に加わりました。
本展では、日本の美術館では展示されることの少ない卵黄テンペラ画を、技法・色材・材料の面から紹介していきます。6年の歳月をかけて完成した、復元模写《シモーネ・マルティーニ＜受胎告知＞》を中心に、当時、制作に使用した道具、材料、入念に調べた研究ノートなどの周辺資料を展示します。さらに、その後の研究をもとに、今回新たに手がけた「制作工程」と、同時に収録した手順の動画で、テンペラ画制作の過程を紐解いていきます。本展において、テンペラ画の基礎から、金箔置き、刻印、彩色、緑土を用いる肌の描写、羊皮紙においての表現など、『チェンニーノ・チェンニーニ絵画術の書』が伝える技法を引用しつつ、それに石原の解説を加えながら紹介し、テンペラ画の魅力に迫ります。

Organizer: (公財)目黒区芸術文化振興財団目黒区美術館
Sponsership and Cooperation: 協賛:(公財)北野生涯教育振興会、ダンレックス株式会社
企画協力:&4+do、中世絵画工房FOND'ORO
Closing Days: 月曜日(ただし2/24(月・休)は開館、2/25(火)は休館)
Opening Hours: 午前10時～午後6時; (入館は午後5時30分まで)
Admission (tax included): 一般900(700)円、大高生・65歳以上700(550)円、中学生以下無料
障がいのある方とその付添者1名は無料; ( )内は20名以上の団体料金
目黒区在住、在勤、在学の方は受付で証明書類をご提出いただくと団体料金になります(他の割引と併用はできません)
Exhibition Website: https://www.mmat.jp/exhibition/archive/2025/20250215-450.html