ID:82237
幻想のパランプセスト 渡辺千尋展 Watanabe Chihiro
幻想のパランプセスト ~架空の美術庭園~
会場
不忍画廊
SHINOBAZU GALLERY
会期
2026年7月11日sat.―8月1日sat.
展覧会概要
幻想のパランプセスト 渡辺千尋展 ゲンソウノパランプセスト ワタナベチヒロテン
Watanabe Chihiro
銅版画家・渡辺千尋は、同世代の門坂流(1948-2014)や多賀新(1946-)のように、破壊と創造を同時進行させるある種の力を主要テーマのひとつとしているように思われる。
代表連作とされる《象の風景》をはじめ、奇抜で、奇怪とさえいえる肖像画その他において、その見えざる力は、人間や動植物の、固定され定型化された〈形〉を解体しようとする凄まじい暴威として表現される……(また、画業の後期、あるいは晩年に制作された油画においては、見えざる力が凝固・凍結した感もあり、静寂を揺るがすような幻想・眩暈が呼び込まれる)。
《象の風景》に見られるように、制止も制御さえも不可能な威力によって無残にその〈形〉を蹂躙された個体たちは互いの領域を侵食しながら、しだいに溶融へと向かう。かろうじて破損を免れた〈形〉の断片がところどころに確認できるものの、世界のほとんどはダイナミックな肉質/植物質の曲線形が絡み合い、重層する混濁状態に還元されようとしている。そして、虚無の闇へ通ずるかのような不吉な洞窟も穿たれる。
はたして、画家が幻視したこの光景は世界そのものの廃墟であり、何人も予期しえない地獄だったのであろうか。自己(個)の消失と得体の知れない他者による介入-侵犯を予覚させる諸状況は、われわれの日常の感性からするなら、たしかに地獄ということになろう。しかし、見方を変えるなら、自己消失へのベクトルは自閉からの解放ともいえるし、他者による介入-侵犯はむなしい孤独の解消につながるのではなかろうか。
相馬 俊樹
- 休催日
- 月・火・水・祝日
- 開催時間
- 12:00 ~ 18:00
会場情報
登録日:2026年7月21日