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竹村京 「ついてはなれて」 Kei Takemura “Catch and Release”

会場

タカ・イシイギャラリー 前橋

Taka Ishii Gallery Maebashi

会期

2025年9月19日(金) -10月26日(日)

展覧会概要

竹村京 「ついてはなれて」 タケムラキョウ 「ツイテハナレテ」

Kei Takemura “Catch and Release”

この度、タカ・イシイギャラリー 前橋は、9月19日(金)から10月26日(日)まで、竹村京の個展「ついてはなれて」を開催いたします。竹村は時間の積層や身体に宿る記憶、そして内と外の境界に潜む感覚に静かに触れるような作品を手がけてきました。物質としての身体や空間にある繊細な変化や小さなズレを通じて、私たちの認識を問い直すような実践を続けています。普段は意識することのない記憶の断片や、曖昧な感覚の余白に働きかける視点から、日々の知覚にそっと光をあてる作家による新作を公開します。

去年、丸亀美術館で友人Kが妊婦だった頃にテーブルの上においたコップをお腹で押して割ってしまった一連の動作をパフォーマーの女性に演じてもらうのにお腹にサッカーボールを巻き付けたのを見た時に、最近本物の妊婦に会っていないなと思う。ウクライナ出身のベルリンの友達が赤ちゃんを産んだことをFacebookで知って、嬉しくなる。息子が生まれてすぐの頃のことを思い出す、出て来た後もなんだかつながっていた気がしたことを。それで妊婦と産んだ後のお母さんのポートレートを縫おうと思いつく。

Nさんが産む直前か後くらいだろうという夫からのふわっとした話に乗っかって、尋ねてみると二週間前に生まれたとのこと。一年前に生まれた最初の子にも会っていなかったので一気に二人の子のお母さんになったNさんに会うことになる。彼女は産んだ後は抜け殻だと晴れやかな顔で言ってのける。

7月7日、妊婦のSさんに会う、新宿高島屋にて。Kさんが紹介してくれたSさんは彼女自身のお母さんとの関係について話してくれた。35歳にしてやっとやりたいことができるようになったという。
庭の雑草は気付かぬうちにどんどん生える。容赦ない雨にも動じない。強い太陽の光と強い雨との交互の攻撃でイチジクの大きな葉はほとんど変色して落ちてしまったと言うのに。よく見ると今年は見知らぬ豆科の草の成長の勢いが止まらない。前はよく生えていたポピーはほとんど見なくなった。

隣に住む母がデンマークのチーズ皿を壊したのを持ってきた。よく見ると妊婦が生まれてくる赤ちゃんのために靴下を縫っている柄だった。修復していると、そういえばこれも割ったのだったと、新しく割ってしまったものが次々と運ばれてきた。
母が結婚するときに祖母から贈られた桐のタンスを引っ越したときに夫がもらったのが、遂に引き出しの底が抜けたので解体して捨てることになったのだけれど、引き出しを出してみたらものすごく薄く切った桐が貼られたベニヤで出来ていた。正面だけが桐の板だった。
サッカーボールを巻きつけたお腹を思い出す。
竹村京

竹村の作品には、個人的な記憶や断片的な出来事が重なり合い、身の回りに潜む普遍的な世界との連環を呼び覚まします。本展における新作にあらわれるのは、美術史的イメージや母性・家族といった個別の主題を越えて、常に近接しつつも遊離する関係性、同時に存在する世界の表象と裏象を提示します。抗いようもなくとめどなく織り成される時間の層の中で、私たちの認識や記憶がどのように生成され、その時のはざまでそれぞれの世界を形づくるのかを静かに、かつ反響的に示唆する作品群をぜひこの機会にご高覧ください。

休催日
[臨時休廊: 2025年10月11日(土) - 12日(日)]
展覧会ホームページ
https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/35417/

イベント情報

オープニング・レセプション:9月19日(金)16:00-18:00

◎関連展示
展覧会名「ゴースト 見えないものが見えるとき」
会期 2025年9月20日(土)-12月21日(日)
会場 アーツ前橋 1階ギャラリー+地下ギャラリー
開館時間 10:00-18:00
休館日 水曜日

会場情報

タカ・イシイギャラリー 前橋 タカ・イシイギャラリー マエバシ

Taka Ishii Gallery Maebashi

会場住所
〒371-0022
前橋市千代田町5-9-1 まえばしガレリア1F
ホームページ
https://www.takaishiigallery.com/
更新日:2025年12月11日
登録日:2025年12月9日