PAN- PROJECTS 《The Matter of Facts》

PAN- PROJECTS
《The Matter of Facts》
2021年
ミクストメディア

構造設計
富岡庸平
藤本貴之

照明デザイン
ライティング ルーツ ファクトリー株式会社

展示概要

PAN- PROJECTSは、ロンドンを拠点に活動する八木祐理子、高田一正による建築家ユニットです。これまで場所の持つ固有の文化や歴史を見つめ、複雑に絡み合う要素を大切にし、その調和を試みるプロジェクトを展開してきました。《The Matter of Facts》では、東京都内の公共機関や商業施設で発行された広報物、とりわけコロナ禍で中止・延期となったイベントなどの印刷物を素材として用い、「都市の記憶」として再提示し、国立新美術館の1階中央インフォメーションカウンターと一体化した大型インスタレーションです。事実や事柄(=facts)の伝達手段であり、かつ痕跡でもある大量の印刷物の集積から成る本作は、コロナ禍の「都市の記憶」を留め、私たちが生きる「現在地」を新たに捉えようとする試みです。

展示期間 2021年8月11日(水)~12月20日(月)
毎週火曜日休館 ※ただし11月23日(火・祝)は開館
公開時間 美術館の開館時間に準ずる
会 場 国立新美術館 1階中央インフォメーション
〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2
助 成 公益財団法人 野村財団
協 力 ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社
観覧料 無料
お問合せ 050-5541-8600(ハローダイヤル)

作家プロフィール

PAN- PROJECTS
Photo: Yuta Sawamura

PAN- PROJECTS

ロンドンを拠点にする建築設計事務所。2017年に八木祐理子、高田一正により設立され、ヨーロッパを中心に活動している。多様な社会を尊重し、推し進める建築の在り方を目指す。主なプロジェクトに《Paper Pavilion》(コペンハーゲン、2017)、《The Playhouse》(東京、2020)など。CHART ART FAIR 最優秀賞(2017)、ヴェネツィア・ビエンナーレYEA入賞(2021)、他受賞多数。
https://pan-projects.com/

八木祐理子

京都工芸繊維大学造形工学課程、同大学院建築学専攻修了。Atelier Lise Juel 勤務を経て、PAN- PROJECTS共同設立。 デンマーク建築家協会登録建築家。

高田一正

早稲田大学建築学科、デンマーク王立芸術アカデミー修士課程修了後、PAN- PROJECTS共同設立。王立英国建築家協会(RIBA)及びデンマーク建築家協会登録建築家。


The Matter of Facts

この作品は我々が実感することのできる事実、事柄の集積から、我々の現在地を把握し直すことを促すものである。

古来より人間社会は疫病など姿の見えない強大な恐怖に抗う手段として、人々がすがる事ができる物体を建設し社会の安定を図ろうと試みてきた。かつて神という超自然的な存在の信仰により支えられてきたこの社会の精神基盤を支持する手法は、人類の発展に伴い科学に取って代わられ、我々はそれを情報として受け取ることで事態を把握し社会的・精神的安定を得てきた。
しかし、現代を生きる我々の時代を支えてきたこの科学の情報に基づく基盤はCOVID-19 の出現により、極めて不確かなものであることが露呈し、我々の社会の秩序は根底から揺れ動かされている。科学が翻弄され続ける現象と、日々更新される不確かな情報の渦が産み出すこの不安定な情勢は、我々の生活を脅かし、もやっとした、捉えどころのない不安が、今、社会を覆いこんでいる。

この不安が我々の信ずるものの基盤の揺らぎ、つまりは捉えどころの無い情報の錯綜に端を発するものであるのであれば、今我々にできることは事実を事実として認識することのできる事実のみを拾い集め、その行為を通して我々の現在地を把握し直すことではないか。

The Matter of Facts はCOVID-19 に社会が影響を受け始めた時期以降の印刷物を集積した物体であり、これらは大きな流行の中で起こった、もしくは起こらなかった事柄を映し出す。それらはつまり、我々の眼前にあった日常から、失われたもの、変化したもの、新しく出現したもの、変わらないもの、そうした事実を反映した情報物である。こうした身の回りで起こっている変化を俯瞰し、つなぎ合わせ、我々のいる現在地を、個々人が自らのスケールから把握し直すことによって、我々はこの捉えどころの無い不安に対し抗う一つの術を得る。

PAN- PROJECTS